「その"スマホ首"、肩こりじゃなくて"首こり病"かもしれません」

2026年09月28日 19:00


うつむいた1秒が、首に子どもを乗せている

電車の中でスマホを覗き込む、デスクでモニターを見下ろす、寝る前に布団の中でスマホをチェックする—
—どれも数秒〜数十分の、なんてことない日常の1コマです。

でも、ニューヨークの脊椎外科医ハンスラージ氏の研究(2014年)によると、頭が前に傾く角度によって
首への負荷は驚くほど変わります。

まっすぐな状態で約5kg。15度で12kg、30度で18kg、45度で22kg、そして60度傾くと約27kg—
—これは小学校3年生の子ども1人分の重さに相当します。

日本人がスマホ操作に使う時間は年間約286時間とも言われており、その間ずっと、子どもを首に乗せ
続けているような負荷がかかっている計算になります。

しかも今、座りっぱなしの生活時間が長く、体を動かす機会そのものが以前より減っているとも言われる
世代です。首への負荷は、静かに、確実に積み上がっています。




それは「肩こり」の話じゃない

「スマホ首は肩こりの原因」——これはもう、多くの方がご存知だと思います。ですが、実はこの理解では
半分しか説明できていません。

首には自律神経が集中しています。
東京脳神経センターの松井孝嘉理事長が提唱する「頸性神経筋症候群」という考え方では、うつむき姿勢に
よって首の後ろの筋肉が慢性的に緊張・疲労した状態(いわゆる"首こり病")が続くと、自律神経、特に心身を
リラックスさせる副交感神経の働きが低下するとされています。


その結果として起こるとされるのが、動悸、息切れ、ふらつき、冷え、のぼせ、胃腸障害、慢性疲労、
寝付きの悪さ、ドライアイなど——もはや「肩こり」の範囲を超えた、全身にわたる不調です。

「スマホ首=肩こりの原因」ではなく「スマホ首=自律神経の失調そのものを引き起こす首こり病」と
いうのが、正しい理解に近いのかもしれません。




見た目にも、静かに老化が進んでいる

さらに見過ごせないのが、見た目への影響です。海外では「tech neck(テックネック)」という言葉で、
皮膚科医たちがこの問題を研究しています。


うつむくたびに、首の皮膚は水平に折りたたまれます。紙を同じ場所で繰り返し折ると折り目がついて
しまうように、この動きが毎日蓄積することで、消えない横ジワとして定着してしまうとされています。

首の皮膚はもともと顔よりも薄く皮脂腺も少ないため、老化のサインが早く出やすい部位でもあります。

加えて、うつむき姿勢が続くと首の筋肉(広頸筋)の緊張バランスが崩れ、コラーゲンやエラスチンの分解が
進みやすくなり、顎下のたるみや二重顎につながるとも言われています。

海外の皮膚科医の中には、これを"computer face"と呼び、画面を凝視する際の眉間の縦ジワ
(通称"イレブンライン")とセットで説明する例もあります。


さらに、血流の停滞による顔色の悪さもこの流れの一部と考えられますし、海外の記事では、スマホや
PCから出るブルーライトが皮膚の奥(真皮)まで届き、酸化ストレスを通じてコラーゲン・エラスチンの
分解に関わる可能性があるという指摘もありました。

見た目の変化は、体の中で起きている変化の"氷山の一角"に過ぎないのかもしれません。





首こり病から自分を守るために

セルフチェック&メンテ

まずは2つのセルフチェックを。

壁テスト:壁に踵・お尻・背中をつけて立ち、後頭部が自然に壁につくか確認。つかない場合は
前方頭位が進行しているサインです。

鏡テスト:鏡の前に立って全身を映してみてください。両腕が下半身より前に出て、正面から
手の甲が見えている場合、巻き肩が進行しているサインとされています。


気になる方は、次のセルフメンテを日常に組み込んでみてください。

タオルストレッチ:タオルの両端を持ち、両手をまっすぐ上に挙げる。そこから肩甲骨を寄せるように
         しながら、タオルを後頭部に向けてゆっくり下げる。10回ほど繰り返す。

クッション胸開き:仰向けに寝て、背中の真ん中あたりにクッションや丸めたバスタオルを入れる。
         両手を大きく広げ、胸を開くようにゆっくり深呼吸を数回。

肩甲骨まわし:両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように前から後ろへゆっくり回す。10回。

あご引き体操:30分に1回、あごを軽く引いて後頭部を後ろに引く動きを5回。

側頸部セルフマッサージ:首すじの筋肉を親指と人差し指で優しくつまみ、上から下へずらしながらほぐす。

特別な運動の時間を取らなくても、隙間時間にこれらを組み込むだけで、首・肩まわりが固まるのを防ぐ
サポートになるとされています。




栄養

末梢神経の働きに関わるとされるビタミンB群(B1・B6・B12)や、神経の興奮を鎮め筋肉の緊張緩和に
関わるとされるマグネシウムを、無理なく摂れる組み合わせをレシピにしてみました。


さば缶と大豆のごま味噌炒め

材料(1〜2人分):さば水煮缶 1缶、蒸し大豆 50g、すりごま 大さじ1、味噌 小さじ2、みりん 小さじ1、
ごま油 少々、万能ねぎ 適量


作り方:①フライパンにごま油を熱し、蒸し大豆を軽く炒める

    ②さば缶を汁ごと加え、味噌とみりんを加えて炒め合わせる

    ③すりごまを絡めて器に盛り、万能ねぎを散らして完成

さばのビタミンB12・B6、大豆とごまのマグネシウムを一皿でまとめて摂れる組み合わせです。

施術法

当院では、この"首こり"という1つの根本原因に、3つの角度からアプローチしています。

首に集中する自律神経、特に副交感神経の働きやすさへはクラニオセイクラルで。

首こりの悪化で出やすいとされる胃腸の不調へは内臓マニピュレーションで。

慢性化した首・肩の筋緊張そのものへは波動セラピーで。

表面のコリだけでなく、根本から多方面にアプローチすることを大切にしています。

心当たりのある方は、お気軽にご相談ください。

記事一覧を見る