首の不調と睡眠の関係 ― 海外研究から見える意外なつながり
はじめに
首のこりや痛みは、多くの人が日常的に抱える不調のひとつです。
実はこの「首の不調」と「睡眠の質」には、深い関係があることが海外の研究によって
明らかになっています。
今回は、海外の研究結果をもとに、そのつながりをご紹介します。
1. 首の不調が睡眠に与える影響
慢性的な首の痛みを持つ人は、寝つきの悪さ・夜間の中途覚醒・睡眠の浅さを訴える割合が高い。
首の筋肉が硬直すると、枕の高さや寝返りのタイミングで痛みを感じ、深い眠り(ノンレム睡眠)を
妨げる可能性がある。
オーストラリアの研究(2015年)では、頸部痛を持つ患者の約70%が睡眠障害を伴っていたと
報告されています。
2. 睡眠不足が首に与える影響
睡眠不足は、痛みに対する感受性を高めることが知られています。
米国の研究(2018年)によると、わずか一晩の睡眠不足でも、痛みを抑える脳の働きが鈍り、
首や肩の不快感を強く感じやすくなることが示されています。
つまり「首の不調が眠りを悪くし、眠りの悪さがさらに首の不調を悪化させる」という悪循環が
起こりやすいのです。
3. 改善のためにできること(詳しく・実践編)
首の不調と睡眠の悪循環を断つためには、「寝ているときの環境」「就寝前ルーティン」
「日中の習慣」「首周りのセルフケア」の4つを同時に整えるのが効果的です。
以下、すぐできる具体策をわかりやすくまとめます。
大前提:まずは“悪循環”を断つ
睡眠不足は痛み感受性を高め、痛みはまた睡眠を妨げます。まずは「眠りの質」を下げない工夫
(夜中に目を覚まさない・寝つきを良くする)を優先すると、痛みの感覚も改善しやすくなります。
PMC
1) 枕・寝具の見直し(30日トライ)
ポイントチェック(簡単)
仰向けで寝たとき、首の自然なカーブ(頸椎のS字)が支えられているか。
横向きで寝たとき、頭と肩の高さが水平になるか(首が傾かない)。
朝起きたときの「首のこわばり度」を日記で記録(0〜10で可)。
試し方(30日ルール):新しい枕は最低2〜4週間試す。合わなければ高さ・素材を変える。
実用アドバイス:高さ調整できる枕、頸部サポート(コンター)タイプやフォーム/ラテックス製が選択肢に。臨床試験では、頸椎サポート枕が頸部筋の持久性やアライメントに良い変化を示した報告がありますが、個人差もあります。
PMC
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2) 就寝前ルーティン(30〜60分前から準備)
90〜60分前:強い光(大きい画面)は避ける。ブルーライトを減らすか画面を暗く。
30分前:5分ネック・リラックスルーチン
首の軽い振り(ゆっくり左右→上下、痛みが出ない範囲で)30秒
肩甲骨を寄せる(肩を引いて10秒キープ ×3回)
深呼吸(吸って4秒・止めて4秒・吐いて8秒)を3回
お風呂は就寝1時間前に短めに(温熱で筋緊張を緩める)。
このような習慣は寝つきを助け、夜間の中途覚醒を減らすのに役立ちます。
3) 5分でできる「簡単ストレッチ」── 毎晩1回が目安(痛みが強ければ中止)
A. チン・タック(顎引き) — 深い首の屈曲筋(深層頸屈筋)を活性化
座るか仰向けで、あごをゆっくり引く(二重あごを作る感じ)→ 5秒キープ ×10回。
B. 上部僧帽筋ストレッチ
片手で椅子を掴み、反対側の手で頭を斜め下に引いて20〜30秒 ×2回(呼吸を止めない)。
C. 肩甲骨寄せ(スクイーズ)
背筋を伸ばし、両肩甲骨を寄せて5秒キープ ×10回。
D. うつぶせでの軽いヘッドリフト(耐久訓練)
うつぶせ(顎は中立)で額を軽く持ち上げ、5–10秒 ×5回(痛みがなければ)
これらは習慣的に行うことで首周りの“耐久力”が上がり、夜間の不快感も減る可能性があります。運動療法は慢性の首痛に対して有益である、というレビュー報告があります。
Cochrane
4) 温め vs 冷却 の使い分け
慢性的なこり・硬さ → 寝る30分前に温める(ホットパックや蒸しタオルで血流改善)。
急性の鋭い痛み・炎症(腫れや熱感がある) → 冷却(保冷パック)を短時間(10〜15分)で。
※自分で試して「楽になる方」を採用してください。状態が不明な場合は専門家に相談を。
5) 日中の姿勢/習慣(眠る前だけでなく“昼”も大事)
モニターは目の高さに。顎を突き出さない(顎前方位に注意)。
30〜50分ごとに1分ルーチン(立ち上がって肩回し・首の軽いストレッチ)。
重いバッグは両肩に分散/片側だけで長時間持たない。
これらは「首にかかる負担を減らす」ことで、夜の痛みを減らします。
6) 睡眠治療(CBT-Iなど)を検討する
慢性痛を抱える人に対して、睡眠の専門的介入(CBT-I)を加えると、睡眠だけでなく痛み関連アウトカムも改善する可能性が示されています。睡眠障害が強ければ、理学療法+CBT-Iなど“統合的アプローチ”が有効です。専門の睡眠外来や、近年はデジタルCBT-I(アプリ)も選択肢になっています。
JAMA ネットワーク
7) すぐ試せる「7日チャレンジ」:読者ウケする短期プラン
【枕チェック】今朝の首のこわばりを0–10で記録。
【夜の5分ストレッチ】上の“簡単ストレッチ”を毎晩実施。
【画面オフ】就寝30分前にスマホを別室に。
【温め】寝る前に首を10分温めてみる。
【姿勢タイマー】30分ごとに立つ習慣(スマホのリマインダーでOK)。
【睡眠日誌】就床時刻・起床時刻・夜中の覚醒を簡単にメモ。
【評価】7日後に首のこわばりを再評価(改善が見られたことをSNSでシェアしてもらうと反応が取りやすい)
(日替わりで写真付き投稿のテンプレを作れば、読者参加型コンテンツになります)
8) いつ病院や専門家に相談するか(受診の目安)
腕や手にしびれ・脱力が出てきた
夜間も激しい痛みで眠れない・痛みが急に悪化した
発熱や体重減少を伴う、原因不明の症状がある
こうした場合は整形外科や整骨・理学療法の専門家へ。
まとめ(読者向けひと言)
小さな“習慣”を積み重ねるだけで、首の不調と睡眠の悪循環は確実に弱められます。
まずは「枕チェック」と「夜の5分ストレッチ」から。読者が取り組みやすい7日チャレンジを
用意して、結果をSNSやコメントでシェアしてもらうとエンゲージメントも上がりますよ。
参考(海外研究の一例)
頸椎サポート枕の効果を示すRCTやレビュー。
PMC
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運動療法(筋力・持久)に関する総説(Cochrane 等)。
Cochrane
睡眠不足が痛みの感受性を高める実験的研究。
PMC
慢性痛をもつ患者におけるCBT-I 併用の有効性を評価した臨床試験。
JAMA ネットワーク3. 改善のためにできること(詳しく・実践編)
首の不調と睡眠の悪循環を断つためには、「寝ているときの環境」「就寝前ルーティン」
「日中の習慣」「首周りのセルフケア」の4つを同時に整えるのが効果的です。